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2014年12月27日 (土)

布団遍歴 2

私は23歳で夫と結婚。仲人は夫が1年間修業させてもらった、京都にある寝具店の店主夫婦に依頼した。

そこは壁一面を商品が埋め尽くし、ここに来たらどんな寝具でも揃いそうな布団屋。婚礼前の挨拶に伺った際、夫がかつて寝泊まりしていた、今は主のいない小さな部屋を見せられた。

『綿屋のぼんぼんが、こんなところで一年間辛抱 したのか・・・』と、何ともいえない感情で胸が詰まった。人が人に対する愛情を深めるのは、きっとこんな瞬間なのだ。

 ・・・が、後に聞くと、懐の深い修業先のご家族に甘えた夫は、修業の最終日まで寝坊して、「小山君、今日くらいはよ起きや~。」と、だんな様に笑われたそうな。

悪条件は夜の寝床だけ。とんだ寝坊助め、胸の底から湧き起こった私のあの感情を返してくれ! 

その当時、婚礼布団は花嫁側が用意するのが通例であったが、嫁ぎ先の家業が代々受け継がれた製綿業。綿わたの布団を作ったり、仕立て替えをする商売を営んでいたため、私の場合、布団は夫側が準備してくれた。多くの女性はこのような機会に母親と布団屋に行き、自分たちが使う布団の中身や柄、サイズや値段がどうだとかなど、少しは布団の知識を身につけるものだ。でも私には幸か不幸かそんな機会はなかった。

(そんな布団屋に行ったこともない私が、その約6年後にOLから一気に布団屋の女将になるのだから・・・)  

ところで私たちが結婚当初から使ったのは、インテリアショップで見つけたシンプルなクイーンサイズのベッド。バネのきいたスノコの上には自家製の綿わた敷き布団。掛け布団ももちろん自家製の綿わた入りのものだった。

ベッドのフレームがゴージャスからナチュラルテイストに変わっただけで、使う布団は結婚前のスタイルとほぼ同じ。

ただ、大きさが今までの婚礼では作ったことのないクイーンサイズ。掛け布団は210㎝角の正方形で、こたつ布団に等しい。ベランダに干すのはたいへんだった。それでも「重い」と文句を言わなかったのは、綿わたの布団しか使ったことがなかったのと、夫による布団作りの優れた技術のおかげだと、少~し褒めておこ。

このころ私は結婚前からの仕事を続けていた。バブル経済の真っただ中、おシャレと遊びにでかけることにしか関心のないアホな私は、夫の仕事とはいえ布団への興味は薄く、与えられた寝具で当たり前のようにスヤスヤ眠っていた。

ところが26歳の冬に体験した入院生活が、その『ちがい』を知るきっかけとなったのです。 次号につづく

 

 
 
 
 
 
 

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